Customer Obsession(カスタマーオブセッション)
オブセッションとは、憑りつかれる、憑依する、という意味の言葉。すなわち、顧客に憑依するかのような執念で共感し、喜ばせる。
満足度なんて生易しい表現じゃない、「地球上で最もお客様を大事にする企業」であることをビジョンに掲げるAmazonの企業活動の根幹となっている部分だ。
そのミッションの達成のために、Amazonはどんな施策を行っているのか。
- Amazonの企業理念、方向性
- Kindle出版の現状の戦略
- youtubeやブログなどの既存のネットビジネスが辿った道のり
これらの要素を元に、今後開始されるサービスの想定、そしてKindle出版というデジタルコンテンツの将来を予測する。
証券アナリストであり、分析のプロである著者が、半年の期間と大量の資料を元に作り上げられた一冊。これから始まるサービスの中で、ブルーオーシャンとなりえるコンテンツの予測も記載。
Kindle作家としては門外不出のレベル……
「麦わら帽子は冬に買え」
現状の状況を材料に未来の予測をしておけば、きたるその時に最適解をはじき出すことができる。
拡大するデジタルコンテンツの市場で、地位を確立するために、今なにをすべきなのか……
行動の指針を定めるための攻略本となる珠玉の一冊です!
Amzonの経営方針
1994年にジェフ・ベゾスによって創業され、当初はオンライン書店としてスタートしましたが、現在では様々な商品を取り扱っているamazon。
今や生活の一部に完全に入り込み、amazonのサービスなしでの生活は考えられないほどに優秀なビジネスモデルは、どのような仕組みで機能しているのでしょうか?
カスタマーオブセッション
顧客の満足のためには数字による判断は行わない。その判断が顧客の満足に直結する基準を満たすのなら、赤字が出ても採用する。
一番大切なのは、顧客の信頼。EC(イーコマース)の中で最も安く、世界一の品揃えというイメージを顧客が持つようになれば、他に選択肢を持たなくなり、顧客を総取りできる。
利益は後からでも充分獲得可能。
顧客からの満足を集め「地球上で最もお客様を大事にする企業」としてのイメージの確立が最も大切だ。
しかし、キャッシュフローを得るためのスキームはしっかりと組んでいるのがウォール街出身のジェフ・べゾスらしいところ。
大口契約ゆえに預かったクレジットのキャッシュ獲得までのスピードがとても速い。そして、サプライヤーに払う買掛金の支払いは遅らせ、この決済のリードタイムを利用して余ったキャッシュを投資に回しているというのだ…
そういえば、amazonの配送料は大口ゆえの超格安の特約契約が結ばれているというのは聞いたことがある…
フライング・ホイール
フライング・ホイールとは、いったん回り始めると自律的に回転が続き、少しの要因で回転速度がぐんぐんと増加していく仕組みで、「弾み車」とも呼ばれます。
成長を自律的にぐんぐんと増加させるにはどうすればいいのか……
ジェフ・べゾスが外食先の紙ナプキンに書いた図を元に作られた著者図解がこちら。
amazonは、世界一の品揃えをミッションとして構え、行動指針としています。
そして、なぜ売れそうにもないニッチな品まで揃えているのか。
それは、②にある顧客満足のためです。
「どこにもないけど、amazonにはあった!」
「田舎の辺境地にも、amazonで頼めばどんなものでもすぐに届く!」
今までにないこの驚きが、強烈な感動体験となり、何か欲しいものがあった時には再度amazonを訪問する。すると、③にある顧客の増加に繋がり、何度も何度もリピート客として利用してくれる上客となっていくのです。そして、顧客のたくさん集まるプラットフォームになると何が起こるか…
もちろん、④の販売者の増加ですね。
販売者が増えれば、また品揃えも充実する。こうして、自律的に成長の回転が回り続け、自らが自己成長していくビジネスモデルとなっているのが、フライング・ホイールの原理となります。
もうひとつの軸
成長をすることで、回るもうひとつの軸があります。それが、スケールアップによる価格の低下です。
企業として大きくなれば、町の小売り店ではマネができないほどの大量仕入れができる。超大口というのは、いつもどこでも優遇されるもの。
そうして、仕入れコストが下がった恩恵はまた顧客に還元をし、それが顧客の満足につながる……
カスタマーオブセッションの行動原理に戻ってくる、というわけですね。
ロングテール戦略
amazonのように品目数を増やす戦略をロングテール戦略と呼びます。
・コスプレ用途でなく、本物の防弾シールド。
・1億円分のダミー札束。
・200万円の純金製仏像。
ここまでの品ぞろえを実現している小売店は、確かにAmazon以外にありません。
「さすがに、コレは売ってないか…」
そう思うような商品でも、Amazonで検索すれば、だいたい見つかります。
通常はパレートの法則と呼ばれる、稼ぎ頭は実質2割、残りの8割、その2割をどう見定め、力を入れるかが戦略としては有効な手段。
しかし、amazonの販売分布は下記のイメージ。
顧客の感動を行動指針におくため、合理的かどうかではなく、選ばれるための選択をする。
しかし、この戦略は保管コストの増加という大きな欠点も持っています。
大量の品目を管理するには、大きな倉庫を必要とし、維持管理のコストもかかってくる。
小売りでは解消しにくいこの欠点を打ち消してしまう商品…
それが、デジタルコンテンツです。
kindleなどのデジタルコンテンツは、維持管理にかかる費用がサーバー代等のみとなり、(ちなみにamazonの最大の収益源はAWSと呼ばれるクラウドサーバー事業)小売商品の維持管理コストから見ればタダ同然のコストとなるのですね。
Kindle出版の現状
2008年にセルフパブリッシングプラットフォームであるKDP(Kindle Direct Publishing)が始まり、2015年にKENP(Kindle Edition Normalized Pages)でのページあたりの印税制度が開始。
そして、2023年現在、Kindle業界はどのような状況となっているのでしょうか。
プロダクト・ライフサイクル理論というマーケティングのフレームワークを使い、現状の把握と、今後の予測を立てていきます。
プロダクト・ライフサイクル理論
プロダクト・ライフサイクル理論とは、商品が市場に導入され、成長し、成熟し、衰退するという一般的な商品の売り上げパターンに基づいたマーケティング理論です。商品のライフサイクルは、次の4つの段階に分類されます。
①導入期
製品を市場に投入する段階。
そもそもの需要がまだ少ないため、売上もあまり大きくありません。
さらに…・製品の開発費がかかる
・広告宣伝費がかかる(製品の認知度を上げ、市場を拡大させる必要がある)このような理由から、利益もほとんど出ない時期です。
②成長期
売上・利益が急激に大きく伸びる段階。
通常、この段階では競合他社もどんどん参入していきます。また、成長期には消費者のニーズが多様化します。そのため、売り手としてはブランド力を高め、市場に浸透させることが重要となります。
③成熟期
市場の成長がゆるやかになり、売上・利益とも伸びにくくなる段階。
上位の企業にとっては、すでに積み上げたブランド力を活かし、シェアを維持することが重要。
一方、下位の企業は生き残りをかけ、特定のターゲットをねらった「ニッチ戦略」をとることが多くなります。
④衰退期
製品が寿命に向かう、最後の期間。
この段階では価格競争が激しくなり、売上も利益も減ってしまいます。ここまで来ると、投資(支出)を抑えて効率性を高めることが重要。
また、新規顧客はもう見込みにくいので、既存顧客の維持を狙います。さらに、積み上げてきたブランドの価値を他の製品に活用したり、撤退時期も考えなければなりません。
Kindle出版 未来予測2023-2030
プロダクトとは、どうしても陳腐化されていくもの……
その時々におけるステージを把握し、自分がどう活動するべきなのかを見定めることが大切なんだね。
なくなったチーズに執着せず、自身の強みを活かしてピボットする勇気を持つ事も大切よ!
効果的な出版戦略
現在の出版戦略としては、下記のものが主な戦略となっています。
99円キャンペーン
期間限定で99円出版の割引セールをすることで、おトク感を演出するというもの。無料にするよりもセール価格で買えたという満足感が感情を刺激する。
また、100円でも身銭を切る事でコンテンツに対する意欲が変わってくる。ある程度のストレスを乗り越えてもらうためにも、コストを回収したいという気持ちは大事。
読者特典
読んでくれた読者にだけ渡されるプレゼント、最後のページに限定記事へのリンクなどを貼る事で、途中離脱を抑える効果も期待できる。
予約出版
Kindleは出版日から数えて、3日前から予約出版を行うことができる。
予約出版をすると、販売ページが前もって作られるため、SNSなどでの宣伝を販売ページを使って行うことができる。
また、A+コンテンツや追加カテゴリー申請なども予約期間中に行うことができ、販売日に完璧な販売ページを仕上げることができる。
主な出版戦略としてはこんな感じ。
作家としてブランドがついてくれば、99円セールを省くことはできる。
でもなかなか無名の作家の書籍が読まれることは少ないから、成長局面の内は初速を伸ばすためにも必要かな…
Kindle出版関連のビジネスの動き
Kindleでの出版を、自分の商品への流入経路として使ったり、名刺代わりにして、自分の事を知ってもらうきっかけとする使われ方が、2022年までのKindle出版界でのKindleの立ち位置でした。
書籍の出版というのは、一般の方からすれば、権威性の証明にもなります。
実際は、原稿と表紙の画像データをアップロードするだけで出版自体はできてしまうのですが、強力なマーケティングツールとして活用される場面が多かったようです。
電子書籍の市場は現在、すごい勢いで拡大しています。
この流れは、Youtubeの黎明期を思わせるような勢いを感じますね!
Kindle業界予測
デジタルコンテンツのメリット、それは…
・スケーラビリティ(拡張してもコストの増加が限定的)
・ロングテール戦略と相性が良い(ニッチで売れにくい商品でも維持コストが少ない)
このようにamazonの行動理念と合致したコンテンツであるKindleなどのデジタルコンテンツは、今後も力を入れていく可能性は高いと言えるでしょう。
そして、amazonの将来性は言うまでもありません。
むしろ、これから僕たちは、amazonと共に進み、amazonの苦手とする分野に力を入れて差別化することで生き残っていくことが必要とさえ言えるでしょう。
それだけの長期的な潜在能力と、世界を支配するんじゃないかという勢いをAmazonを調べていて感じました。
仕事を奪われることを憂うよりも、自分たちにできることを考える。
未来を想像できていれば、その時が来た時、神頼みにならずに施策を考えることができるハズだ…
成長期(2023-2025)
2023年現在のKindle出版は、知る人ぞ知る地下ビジネス!というわけではなくなってきているように感じますね。
アンリミット会員で、様々なコンテンツを消費している方なら、Kindle出版に対して、見かけたことはあるような認識になってきているのではないでしょうか。
そのため、これからはKindleを出版する個人作家がこれまで以上に増え始める、成長期という位置づけになると思います。
そして、それに伴ってamazonもコンテンツビジネスの拡充に力を入れてくると思われます。
Amazon Prime特典の拡充
今後もAmazonがデジタルコンテンツに力を入れるという前提で、今から導入されそうなコンテンツといえば、Prime audibleが候補に上がってくるんじゃないかと思われます。
ながらで消費できるコンテンツ、そうなれば音声コンテンツが頭に浮かんできますね。
audibleは、最近になってコイン制からサブスク制に変更され、また使いやすくなってきました。
しかし、個人でのオーディオブックの出版はまだ停止されている状態。
まずは、このprime会員の特典拡充から、販売者増加のサイクルまで回っていくような流れになってくるんじゃないでしょうか。
レビューの規制強化
Amazonの考え方は、創業当初から一貫しています。
Kindle出版 未来予測2023-2030
「その決断が、顧客のためになるのか?」
企業としてどこまで巨大化しても、これが最大の判断基準です。
現在のカスタマーレビューでは、「サクラレビュー」が横行しています。
・組織的な大量のサクラレビュー
・特典で釣る☆5のサクラレビュー
この状態は、フライング・ホイールでいう顧客満足の質を明らかに低下させます。
このようなamazonの基本原則からも、サクラレビューには厳しい規制が入るのではないかと予測がされます。
Kindle作家内でも、コミュニティ内でレビューをし合うことで書籍に箔がつくことは既知の事実だと思います。
個人的にはしっかりと読み切り、丁寧なレビューをし、そのことが作家自身のモチベーションにもなり、またお返しとして興味のある書籍を読み込み、自他ともの成長するという流れはステキで、絶対になくなって欲しくはないところですが。
一般の顧客の満足度という視点でamazonが見ると、満足度の貢献に繋がってくるのかと考えると、そうではないような思いも浮かんできてしまいます。
その為、AIによる調査(紐づけられたアカウントからの)近親者のレビュー数を制限するなど、Twitterのシャドウバンのような施策が組み込まれる可能性は考えられます。
そのため、自由にレビューができる今の内に、興味のある書籍、作家さんの本は読んでレビューを書き、想いを伝えておくことは必要なのかもしれません。
成長期~成熟期(2026-2028)
この時期に入るとKindle出版のビジネスモデルが一般にも知れ渡り、多種多様な属性の人達もKindle出版業界に参入してくるんじゃないかと予想がされます。
それは、youtubeでもそうだったように、出版社関係や企業、そしてインフルエンサーの参入が考えられると思われます。
業界のニーズの量は加速度的に成長していきますが、それに伴って協力な武器を持つ強者も参入してくる。
例えば、企業の商品の製作ストーリーをKindle本で発行したり、プロの作家が、出版社を介さずに個人でKindle形式で出版をするようになったり……
大きな強みを持つものが参入してくることで、業界の流れが一気に変わってくるのが、この成熟期の特徴となるんじゃないかと予想されます。
しかし、そういった人たちも、文章を書くのはプロかもしれないが、Kindle形式、並びにペーパーバックなどを作成して、販売ページを充実させることはまだ知らない分野なのではないか。
そのため、この成熟期に向けて、出版コンサルでの信頼性の獲得や、出版関連の知識を担保する書籍などを一冊作っておくこと、また、企業のSNSなどと繋がっておくことなどは、今からできる準備として効果の高い施策となるのかもしれません。
Audible関連の充実
現在の個人でのAudible配信は、amazonと個人で契約を結び、煩雑な作業を強いられる状況となっているようです。
まず、2023年2月現在、個人によるAudible配信は…
とにかく、作業が煩雑です。
自分で収録した音声。
表紙(カバー)画像。
PDF形式で作成する、補足資料。「メタデータ」と呼ばれる、複雑なExcelファイル(説明文や検索用キーワードなどを入力)
Kindle出版 未来予測2023-2030
これらのデータを、専用のファイル交換ソフトで送信します。
さらに、Amazon側との連絡には専用フォームもなく、メールでのやりとりのみ。
フライング・ホイールの中に販売者の拡充のサイクルがあるように、我々作家たちもAmazonからすれば大切な顧客のひとり。
KDPが一つのウェブページで完結できるような、完成されたプラットフォームであるように。
Audibleもいつか、誰でも簡単に専用フォームを通じて配信できる仕組みが整備されるのではないかと考えられます。
アメリカにはすでにある、ACXというプラットフォーム
ACX(audiobook creation exchange)というプラットフォームがあり、その中の特徴で、ナレーターへ音声化の依頼ができるというものがあります。
Kindle作家が登録されたナレーターさんに依頼をするだけで、音声コンテンツ化が実現するというサービス。
しかも、このサービス、日本にはまだもちろん配信はされていないのですが、そのコンテンツへのリンクはあるとのこと!
audibleの個人配信サービスが始まって、ナレーターまで準備されるとなれば、バズは確実だろうなぁ……
今からコストをかけて準備をしておく価値はありそうだ…
成熟期~衰退期(2029-2030)
現在のYoutube市場がそうであるように、市場の成長がストップし、既存の顧客、パイを奪い合うフェイズに入ると思われます。
現在のYoutubeの状況は、超トップ層がパイを総取りし、成長。
そして、その下の層のユーチューバーの収益は軒並み落ち込んできているという状況のようです。
現在のKindle出版市場では、まだこの状況は起きていない。
まだまだユーザーも作家も増え続ける成長市場であると言えるでしょう。
そして、Kindle作家としての【スター】もまだ不在。
したがって、2023年から先の数年間の内にニーズのほとんどをスターが持って行ってしまうというような状況は考えにくいでしょう。
Kindle出版はなくなるのか?
結論から言うと、「なくならない」というのが筆者の考えであり、僕もそう思います。
“衰退期”という言葉の印象から、
「Kindle出版って、いずれなくなるの?」
と、心配される方もいるのではないでしょうか。この疑問に対する、私の結論。
それは「Kindle出版は、どこまでいってもなくならない」です。すでに成熟期〜衰退期に突入したYouTubeが、まだまだ人気プラットフォームであるように…
大昔からある「紙の本」が、令和の時代でも情報入手手段としてスタンダードであるように…Kindle本もまた、どこまでいっても、
Kindle出版 未来予測2023-2030
「いつか消滅する」
という未来は訪れないと、私は考えています。
成長産業としてのKindle出版業界の魅力は、全盛期に比べて落ち込むかもしれないが、電子書籍、並びに個人での書籍の出版というコンテンツ自体は求める者がいる限り、残り続ける…
フィルムカメラが今も残っているように…
マニュアルのトランスミッションが今も残っているように…
便利を求めて需要は他に移行するが、必要とする人がいる限り、コンテンツや情報は有用であり続ける。
いつかAmazonは潰れる、という衝撃の発言
2018年11月、ベゾスは社内会議で「実際、私はいつかアマゾンは潰れると考えている」と発言。
「もし我々が顧客ではなく、我々自身に注力し始めたら、それは終わりの始まり。我々は終わりの日を可能な限り遅らせなければならない」
ベゾスが「いつかアマゾンは潰れる」という強い言葉を使い、伝えたかったことは、顧客が欲するものを提供し続けることがアマゾンの存在意義であること、そのために常に顧客にフォーカスして、前日よりさらに進化したサービス・製品を提供し続けること。
そのために今日が「スティル・デイ・ワン」だという意識を持ってイノベーションを起こし続けようということでしょう。
Kindle出版 未来予測2023-2030
仕事で行き詰まる時はいつでもそう…
必死に顧客と向き合っている時は仕事への不満は感じないが、自我が湧き起こり、「どうしてこう動いてくれないんだ…」と思い始めると、顧客にも同僚にも嫌われ、うまくいかなくなる悪循環に陥ってゆく…
べゾスは毎年、投資家に当てたレター、いわゆるべゾスレターなるものを発行しているそうです。
そのレターの最後には必ず、1997年の創業して最初の一年を終えた時のレターが添えられているとのこと。
初心を忘れない、常に顧客を愛し、尊敬し、喜ばれるための施策を打ち続ける。
自我が湧き起こり、目的に向けた行動にモチベーションが持てなくなってしまった時は、自身の使命と最初期に沸き起こった目的を、思い出してみましょう。
顧客の方を向き直す情熱を思い出すきっかけとなってくれるはずです。
営業活動における最大の敵は「迷い」と「弱気」です。
なぜ迷うのか……。
それは目的を見失うからです。営業における目的は、最初のインスピレーションに隠されています。
「あの人に会いたい」と思った瞬間、
何かの目的を感じたからその人に会いたいと思うのです。そのときのひらめきを、必ず書き留める習慣をつけてください。
営業成績が上がる「一冊一顧客」ノート術 中村信二
この目的をノートに書いて、見失わない限り、迷いも弱気もあなたに対して襲いかかることはできないのです。
未来に向けて、すべき行動
amazonでは、失敗することのコストを経営資本の中にあらかじめ組み込んであるそうです。
新しい挑戦にコストをかけていない会社は、いつか必ず神頼みをするような窮地に追い込まれてしまうから。
これは本当に大切なのですが、継続して実験を行わない会社や、失敗を許容しない会社は、最終的には絶望的な状況に追い込まれます。
会社の命運が尽きて、もはや神頼みしかできない状態に陥ってしまうのです。
一方、常に賭け続けてむしろ賭け金を引き上げていくような会社は、実は社運そのものを賭けるようなことはしないので、勝ち残ります。
社運を賭けるなんてことが、うまくいくはずはありません。
そんなことをするときは自暴自棄になっているはずですから。
最後まで決して手をつけるべきでない領域なのです。
──2014年『ビジネスインサイダー』カンファレンス「IGNITION」
べゾス・レター アマゾンに学ぶ14か条の成長原則
Kindle作家としても既存の戦略、現在の主流の動きに追従するような活動だけでは、新規参入してくる黒船たちに潰されてしまいかねません。
未来予測から導き出された、今活動をしているKindle作家だからできることを今の内から積み上げておきましょう!
コンテンツの多様化
Amazonの行動原理の中にシングルディテールというものがあります。
これは、ひとつのページにはひとつのコンテンツしか置かないという考え方。
その為、Kindle、audible、ペーパーバック、すべてのコンテンツが同じページの中に集約されている設計のため、多様なコンテンツを作成しておくことは、販売ページの充実にも繋がる。
主なターゲットであるunlimited会員は、たくさんのコンテンツを消費しているため、短い時間でのコンテンツの取捨選択の能力が高い。
そのため、粗末な品質の低い書籍はすぐに見破られてしまう。
販売ページを充実させておくことは、コンテンツの信頼性を高めることにも繋がり、複数の価格のコンテンツを並べておくことで、本命のコンテンツの価格を安く見せることができる心理効果も期待できる。
わたすの書籍もよろしく💓
ペーパーバックを作れるようになっておくこと
ペーパーバックを販売ページにのせることのメリットは上記の通りですが、それとは別に、僕自身がペーパーバックを作り、紙の書籍で手元に届いた時……
震えるほどの感動、があったんですよね。
350ページ、108,000文字の自伝小説。
自身が経験したこととはいえ、日記のような、人様に読んでもらうような体をなしていない書籍を出すわけにはいかない。
そんな思いもあって構成、文章の書き方、小説の書き方、様々な準備を合わせると半年の期間と50万文字ほど、制作期間の間には書いたのではないかと思います。
そんな苦労の末に出来上がった書籍、これが手元に届いて感動しない訳がない……
まんまとamazonのフライング・ホイールを回す要因となっている点は否めませんが(笑)
この体験、そして、この思い入れのあるコンテンツは必ず、強力な自分を助けるツールとなってくれる。
事実、自著にも出てくるまったく本を読まない旧友に見せたところ…
「夜通し読んで、泣いた…」
と言ってくれました。
そして、身銭を切ってペーパーバックを購入してくれ、今は宣伝隊長として、様々な人に紹介をしてくれているそうです。
一番ニッチで代替性のない、読んでいて面白いと感じる分野は…
個人的には自伝書だと思います。
SNSで交流をしている中で、人となりが分かってきたら、その人の今までの経緯が知りたくなってくる。
その人の背景を知ることで、明るいキャラクターの裏に潜む過去の葛藤などが見えてくる。
それは、その人の深みを表現する大切なツールとなってくれると感じています。
Kindle、ペーパーバックの初めの一冊は、自伝書が良い!
印税という面では、あまり期待はできないかもしれませんが、あなたのこれからの活動を加速させる、フライング・ホイールの起点となってくれるハズです!
ペーパーバックの可能性
amazonのサービスはアメリカで実験が行われ、他国に輸出される形で導入されることが多い。
そのため、アメリカでの動向を追いかければ、日本に入って来るサービスにも見当がつく、というわけですね。
その中のひとつとして、ハードカバーで制作されたペーパーバック、というものがあります。
■メリット
・ペーパーバックと比べて、高級感を演出できる。
・表紙がしっかりしているので、持ち歩いても耐久性がある。■デメリット
・ペーパーバックと比べて、表紙が厚い分、少し重くてかさばる。
・ペーパーバックと比べて、印刷コストがかかる。「物理的な本としての完成形」
Kindle出版 未来予測2023-2030
であるハードカバーを個人で作成できるのは、かなり大きいです。
印刷コストの面で具体的には、600円ほど追加でかかるそうなので、SNSでの見栄えや、永久保存したいくらい思い入れの強い書籍なら、という条件はついてくるかもしれませんね。
実店舗に置いてもらう
民宿、ゲストハウス、美容室、雑貨店など、個人経営のお店なら、本棚にそのお店のコンセプトを表す本が置かれていることって多いですよね。
そこを利用して、自分と相性が良いなと思ったところに声をかけて、置いてもらうのも面白いかもしれません。
フライング・ホイールの起点になるのは、品揃え、これは言い換えれば「人の目につく機会を増やす事」
自分の著書があらゆる場所に置かれていれば、自ずとその置かれた書籍がまた顧客を生み出してくれるかもしれません。
また、ペーパーバックは「著者用コピー注文機能」という機能があります。
これは、ペーパーバックを印刷コストのみで購入できる仕組み。
この注文機能を使うことによって、販売価格から大体40%割り引いた金額で注文が出来るため、ペーパーバックは手売りでのファンの獲得、注目機会を増やす活動と相性が良いのかなと感じています。(送料は別途かかってきます💦)
単純に、お気に入りのお店に自分の本が並んでいるのを見るのが嬉しい、ということもありますね。
amazonがECサイトということもあって、もし追加発注があってもすぐに対応ができるのが嬉しいところ。
また、アメリカではKindleのプレゼント機能なんかも搭載されているので、ペーパーバックを使った実生活での活動も可能性として面白いかもしれません。
audibleでの音声出版に対する準備
すでに解説されている通り、audibleによるオーディオブックは必ずamazonが力を入れ、現在のKindleのように成長するコンテンツとして、世に認知される流れとなっていくでしょう。
現在の状況は新規の受付も停止、今個人契約をできている配信者は、ブルーオーシャン状態のようです。
これからのaudibleの流れのまとめとしては…
プライム特典にaudibleのコンテンツが追加されることで、需要の増加、顧客のニーズを獲得したところで次のサイクルへと入る。
新規の配信者の受付を再開、始まってすぐは知る人ぞ知るサービスとなるため、audible攻略法などのコンテンツがnote、brain、そしてKindleなどでも出版され始める。
audibleの拡大に伴って、プラットフォームも整備され、個人でもストレスなく簡単に配信できる準備が整ってくる。このフェイズでは、配信者の数も増え始め、アーリーアダプター(新しい技術や製品を最初に導入し、使い始める人たちのこと)の特権も少なくなってくる。
Kindleから一足遅れて、規制強化。
コンテンツ全体の整備にかかる。
作業中の耳、ドライブ中や家事中、ウォーキングなど作業中の耳が空いている時間。ここはまだ本格的には狙われていない分野なのではないか…
音声コンテンツは、voicyやstandFMなど、音声コンテンツを中心としたアプリはあるが、本命への流入目的で使われている印象。
ここを本腰入れて作り込めば、ニーズを総ざらいできるキラーコンテンツとなる可能性も感じている。
音声コンテンツには、効果音やバックミュージックなど、臨場感を演出する装飾が付けられるため、想像力を必要とする書籍よりも、また一歩踏み込んだ臨場感を演出できるコンテンツとなると思う。
そのため、audibleで価値を発揮できるのは、意外と実用書よりも、サクセスストーリーを通じて大切なことを伝える自己啓発書や、艶やかさを感じる声で紡がれる、ラブロマンス、官能小説なんかも脚光を浴びるようになってくるのではないかと思う。
アメリカでは、ロマンス小説やミステリー小説のペーパーバックがたくさん出版されています。
アメリカでは長年、商業出版でも初めからペーパーバックで出版する大衆ロマンス小説、ミステリー小説の需要が大きいのです。
老舗のハーレクイン小説の流れを汲んだ大衆小説です。
もちろん、まずハードカバー本が商業出版され、後にペーパーバック化される重厚な小説や有名作家の小説もありますが、棲み分けがされています。
そうしたロマンス小説を読んでみると、美男美女(またはどちらかが美男美女)が出てきて、男性は多少性格に問題があっても身体は筋肉隆々、女性もいろいろな問題があってもスタイルは抜群というのが定番。
二人の関係がソフトポルノのような描写で延々と書き綴られることが多いです。
ペーパーバックだけでなく電子書籍でも、こうしたロマンス小説や、気軽に読めるミステリー小説を読んで現実から逃避するのが、アメリカ人のお気に入りの息抜きなのです。
たはちよさん著 Kindle出版先進国アメリカから見た、日本の作家が今やるべき3つのこと
固定レイアウトでのKindle出版を経験しておく
電子書籍市場は意外にもマンガのニーズが8割を占めているとのこと。
こういった側面からも、固定レイアウト(画像がそのままページとなるような形式)での出版の方法も身につけておくことで、多様性に対応することが可能となる。
「イラストがかけないから、おれはいいや…」
と思うことなかれ。
今やイラストはAIで適切な指示を出す事が出来れば、高品質なイラストが一瞬で出来上がってしまう時代。
後は、adobeやcanvaなどの画像編集ソフトで詳細を整えることで、マンガの体をなすことができるようにはなってくるはず。
全てをマンガ形式にするのは難しいが、(マンガで学ぶ〇〇)のように、導入部分だけマンガ形式にして、解説部分は文章で説明するという形式でも、幅広い年齢層、本を読まない層にもリーチできる手段となり得るんじゃないかと期待している。
※昨今は急速なAI技術の発展から、AIに適切な指示を与えるプロンプトエンジニア(言語モデルに適切な指示を与える)の需要が高まるんじゃないかと思っている。
人間を管理できる人材よりも、AIを深く理解し、効果的にAIに仕事をさせる人のほうが重宝される時代がくるのかもしれない……
作家としてのブランドの確立
○○作家としてのブランドが築かれると持つ事のできるメリットはこの3つ
- 新作を吟味せず、作家買いしてくれるようになる
- amazonの膨大な商品の中に埋もれず、見つけて貰えるようになる
- トレンドを追っての時間に追われる作業じゃなくなるため、マイペースに活動ができるようになる
どうしても個人作家の戦い方としては、大手の出版社との競合になりずらいニッチなジャンル、そして、個人の機動力を活かした素早いトレンドワードへの対応、このふたつになってしまいやすい。
しかし、自分の強みを活かした分野を開拓し、そこでの影響力を高める活動をし続けることで、確固たる地位を確立し、成熟期に参入してくる新参者と競合関係ではなく、自身の成長の糧となる協力者、とすることができるようになる。
自分の強い分野で、出版数を増やす
トップ中のトップである必要はなく、「他人より明らかに知識や経験・スキルがある」という分野で、Kindle出版の実績を上げる。
Kindle出版 未来予測2023-2030
その需要のパイを寡占的に獲得し、その享受を得続けること。
そのために参入障壁を上げる。その施策のひとつとして、徹底的な顧客至上主義が活きてくる。誰も手が出せないレベルの超大口仕入れによる、価格の低下、配送料の無料化、翌日配達。新参者を寄せ付けない参入障壁が、自分のポジションを確固たるものとしてくれる。
Kindle出版でも同じ。世界で一番強くなる必要はないが、その戦場で一番強いことであることは必要だ。
ニッチを攻めて、フライング・ホイールを回し続け、成長し、参入障壁を上げる。
amazonのロングテール戦略がそのフライング・ホイールのビジネスドライバー(ビジネスの本質的な場所、ボウリングのセンターピンのような感覚)となっている。
顧客満足というホイールの回転要因を生み出すために、安易な発想での施策ではなく、顧客の感動を生み出すための独創的な施策を打つ事。
amazonの行動指針がロングテール戦略なら、kindleで出すテーマもニッチな感動を生み出すジャンルを開拓するのが良い。
プラットフォームの望む形で提供された商品は、やっぱりamazonにも求められているだろうから…
自分の強みを活かして、来たる夜明けの時に向けて、自身を成長させるフライング・ホイールをせっせと回し続けることが大切だ。
新機能への早い対応
新機能を攻略するためのコンテンツは鉄板で需要がある。先行者利益を得るためにスピード感ある行動をすることが、個人作家の優位性を活かした戦い方となる。
2030年、それ以降は……
あまりにも遠い未来は、変数が多すぎる。
それ以降の戦い方は、これは僕自身の意見になりますが、過去の歴史に学んで戦い方を知るのが良いのかなと思います。
youtubeでの個人が企業やインフルエンサーに勝つための手段は、素早いトレンドへの対応。
出版社や企業、ひいてはamazonにもできない様な施策を打つことが生き残るための必要な戦略となってくる。
Amazonがオンラインで強みを発揮するなら、オフラインでの活動で成長する方法を考える。
整体、サロン、コミュニティの形成、地域密着型のビジネス。
価格の安さでトップを狙われるなら、高級路線でひとりひとりを大切とするビジネスを考えてみる。
他社の強みと競合しない、自分の強みを活かせる穴場を見つけること。
そして、その強みを成長させ、新規参入してきた黒船を自分の糧となるような施策を考える。
全てが自分の成長につながるようなビジネスモデルを考えることが、大切だということ。
Kindleの未来予測から、Amazonの成長のカギを知ることができたこの書籍に出会って良かった。
読む前と読んだ後で世界の見え方が変わった。
これが書籍の醍醐味、そして、意識が変われば行動が変わる、行動が変われば結果が変わる、そして……
結果が変われば、運命が変わる。
アメリカの心理学者 ウィリアム・ジェームズの言葉とはちょっと違いますが、このブログを書いている今の率直な心境です。
これから僕自身も、こんな感動を与えられるような文章を紡ぐことができる作家でありたい…
amazonにも引けをとらない著者の徹底的な読者目線での出版活動、ぜひご覧になってください。