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出版中の著書

【クロッサムモリタ】小さなお店の生き残り方【ビジネスモデル】

youtubeで巻き込まれるように炎上してしまった森田隼人さん。

明るいキャラクターと革新的なサービスを展開するyoutubeを拝見させて頂いて、興味が湧いて来たところに本を出版するという告知を拝見し、思わずポチってしまいました。

その名も「2.2坪の魔法」

youtubeにでていたクロッサムモリタはお屋敷のようなところで、プロジェクションマッピングを駆使しながら焼肉を食べるスタイル。

ぱっと見邪道な印象を持ってしまったのですが、実際書籍を読んでみると、ただエンターテイメントでプロジェクションマッピングを使用しているだけではなく、伝えたいメッセージをより臨場感を持って伝えるために使用しているということ。

自分の想いを伝えたい。

その一点にビタッとフォーカスを当てる為のロジックを考え抜いている事。

小さなお店が生き抜いていくためのヒントが本の中には散りばめられていました。

個人で事業を成功させたい人、小ささを利用したサービス展開の極意を覗いてみたい人はぜひ今回の記事も読んでみてください。

目次

2.2坪の焼肉屋さん

森田さんは一級建築士のライセンスを持ち、プロボクサーとしても活動していた中、30歳で焼肉屋として起業をすることになります。

料理家としては遅いスタート、さらに肉牛の仕入れは新参者が簡単に入れる領域ではなく、スタートラインにつくことすら困難を極めるタスクの連続だったのです。

それでも、焼肉屋で仕入れは命。

妥協できない森田さんはインターネットもまだ発達していない時代で情報のない中、原付で牧場に押し掛け、交渉を行った事もあったそうです。

屠畜される場所や生き物が食品に変わっていく過程などを、業者のかたに連れまわされながら学んでいく事で、いっぱしの焼肉屋として認めてもらい、仕入れ先を紹介してもらうこととなります。

一流の肉牛を卸してくれる仕入れ先も決まり、次はお店をどこにするか。

3つほど候補を上げ、最終的に決まったのは2.2坪で駅から徒歩30秒、家賃25万円。

他の候補には徒歩3分、5坪で家賃15万円の物件もあったのですが、森田さんは迷わず2.2坪の物件に決めました。

それは、重視している条件をひとつに絞って探しているから即決できるということ。

その条件とは立地です。

お客様の時間を大事にしたい、一瞬で駅から辿りつける利便性を価値として持ちたい。

このように、自身のサービスが輝く為になにが一番大切になってくるのか。

ボーリングのセンターピンを倒せば、どんな球でも攻略できてしまう。

このサービスの成功する為の本質的な部分はなんなのか。

これを考え抜き、そこを埋めるモノが出てきたときそれを手に入れることが出来たなら。

どんな球を投げ入れても、8本、9本とピンは倒れていき、投げ込むボール次第でストライクも獲得することが出来る。

繁盛店に共通していることは、シンプルであるということ。

何を足すかではなく、何を捨て、残すかが大事。

シンプルでコンパクト、そしてインパクトがある事。

このひとつの特徴にエッジを効かせて、突き抜けること。

この部分なら右に出るものがいないということが強烈な差別化となり、唯一無二のあなたのビジネスのセンターピンとなり、ひとりビジネスの成功の秘訣となるのです。

コンセプトを分けて展開

一店目に六花界という小さな箱で、立ち食いの立ち寄りやすい焼肉屋というコンセプトで開始。

そして、来客でいっぱいになり常連さんも入店できなくなってきました。

そこで、二店舗目を展開することになっていきます。

その二店舗目はコンセプトもガラッと変え、価格帯は6000円ほどからと通いやすい価格帯の範囲のまま、少しランクアップした形で展開していきます。

僕の印象としては、一店舗目でとにかく足を運んでもらい、森田さんを知ってもらう。

その為、六花界のルールとしてお客さんが帰るまでに三回爆笑させるという裏ルールがあり、それはお客さんに無防備になってもらい、腹の内を見せてもらうという目的があるとのこと。

そうして、お客さんのホントの所を教えてもらい、気に入ってもらったお客さんにはランクアップした店舗へ足を運んでもらう。

そこでさらにお客さんに合わせたオートクチュール的なサービスを提供する為、念入りに情報を集め、相性の合ったお客様には、最高ランクのお店であるクロッサムモリタにご案内するという流れになります。

森田さんはお客様とシェフという関係とはいえ、ほんとに楽しんでもらうためには、ファンになっていただいて、どうしても食べたいと思ってもらうことが大切とおっしゃっていました。

なんの前情報もなくただふらっと立ち寄ったお店に対する感動よりも、下調べをして予約をとり念願叶って入るお店のほうがより感動してもらえますよね。

その感動の為に森田さんはあえて、不便さを残す形で店舗ごとのコンセプトをきっちり定め、クロッサムモリタで最大限感動してもらう為にしっかりと導線を張っているなと感じました。

超お得意様に自分のすべてを提供

ついに最終店舗【クロッサムモリタ】に辿りついたお客様には、すでに森田さんの人柄、店舗の性格、目的、方向性、こういったものは理解されており、森田さんが自分の想いをすべてぶつける形で料理を提供しても齟齬のない、きっちりハマったサービス提供出来る様になっています。

さらに、ここまでたどり着くまでに様々な店舗を経由しており、お客さまの情報もしっかり入っている状態です。

ここで初めて自分のこだわりを存分に詰め込んだサービスを展開していきます。

今まではここに来てもらうための伏線にすぎないということですね。

自分のこだわりを感動に変える為にここまでしっかりと戦略的に、ビジネスモデルを作りこんでいる話を読んで、感動しました。

何事にも段階があり、いきなり自分のわがままを納得してもらうことはできない。

一歩一歩信用を積み重ね初めて、自分のこだわりに感動してもらえる。

この感動してもらうということにここまで精密な戦略、手間、労力をかけていることに改めて感動しました。

説明には事実よりもストーリーを使う

森田さんが自身の強みとして持っているものとして、ストーリーを使った臨場感ある伝える技術だとおっしゃっていました。

伝える上で特に重要な事として、事実だけを伝えるのではなく、伝えるモノの良いところをしっかり把握しておくということ。

森田さんの例でいくと、「立って食べる焼肉屋さんだよ」と紹介するのではなく。

「住所非公開、予約2年待ちのシェフのお店」と紹介することで、どんなお店なんだろう、、、

と興味を持ってもらえるなど、全然与える印象が変わってきますよね。

そしてさらに、「どうして2年待ちになったかというと~」という様に、ストーリーを添えることでさらに臨場感を持ってイメージをしてもらえるように説明をしているということ。

そしてもうひとつは、肩書に頼った紹介をしないということ。

どんなお店で、行った時の印象はどうだったのか、自分の感じた魅力を自分の言葉で伝えることでより情景を持った説明ができ、相手がありありとイメージを膨らませることにも繋がり、それがお店に行った自分のイメージを持ち、その自分のイメージを味わいたいと来店することにも繋がると思いました。

結局のところ、サービスを利用した時の自分のイメージをどれだけ鮮明にさせるかが営業のキモとなると思います。

そのイメージングの補助として事実だけを伝えるよりも、そのサービスの強みと強みの背景、ストーリーをお話しすること、そして自分の経験をお伝えすることがイメージを膨らましやすくなる手助けになると思います。

価値に感動するのではなく価値の背景に感動する

人は美しい景色を見て感動するのではなく、美しい景色に自分の小ささや過去の出来事とつなぎ合わせて、自己投影し感動する。

価値自体に感動するのではなく、価値を生み出す過程、かけた労力や時間、犠牲にしたものを想像しその背景に思いを寄せることで感動する。

そんなに資産もないのに男気を見せて爆買いするタレントや、ここまで出来るようになるのにどれだけの情熱と時間を使ったんだろうと想像させるプロのスポーツ選手やピアニストなど、もちろんそのプレーや音楽にも感動するのですが、鳥肌が立ったり涙が流れたりするのは、その人の犠牲にしてきたものが垣間見えた時だと思います。

人に感動を与えるには小手先のテクニックではダメ、人生を捧げるような夢中になって時間を費やし、情熱を持ち続け、やらずにはいられないようなものを見つけ、それに魂を売ったようにのめり込むことが必要だと思います。

最後に

全ての戦略は【クロッサムモリタ】へいい形で来てもらうための戦略。

しかし、一番大切なのは六花界に一番最初に足を踏み入れてもらった時。

ここでどれだけ距離感を縮められるか、無防備に食を楽しみ、笑っていただけるか。

そこにちからを注ぎ込み、また来たいと思ってもらえるからこそ、自分のこだわりのつまったサービスを提供出来る事。

その為に、お客さんを笑わせるまで帰さない、ひとりひとりと乾杯をする、など裏ルールを設けひとりひとりを大切にするサービスを徹底する。

これがお客さんに喜んでもらいリピート、並びにファンになってもらう為の秘訣なのだと感じました。

喜んでもらえれば自分も次のお客さんにはもっともっとと思いますし、それがいい循環となりさらに出来る事が増えていく。

そのお客さんに喜んでもらうことの秘訣が以外と料理がおいしい事、ではなくお客さんを爆笑させ、リラックスっできる空間を作り出すこと。

本質を見極め、そこを徹底的に突き詰めていく事の大切さを感じさせられましたね。

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